一橋アウティング事件はゲイ学生(Aさん)がヘテロセクシュアル(異性愛)男性(Bさん)に告白をし、その重大な個人情報を抱え切ることができなくなり起こりました。2015年4月にAさんはBさんに告白をしましたが、Bさんはヘテロセクシュアルだったのでそれに応えることはできませんでした。そしてそこから、友人関係が続きますが、Bさんはその関係に耐えきれず、2015年6月、一橋ロースクールの憲法の試験の前にLINEグループでアウティングします。
他人のセクシュアリティを無断で、本人の意思に反した形で第三者に暴露することをアウティングと言います。これは許されないプライバシー権の侵害です。
しかし、「プライバシー権の侵害だからやめな」という「正論」でこの事件は未然に防げていたでしょうか?正論で説き伏せていればアウティングは起こり得ないのでしょうか?
そうとは思いません。
自分が他人のセクシュアリティに関する個人情報を抱えた時のことを事前にイメージできない人は、いくらアウティングの違法性を小耳に挟んでいたとしても、咄嗟に誤った行動を取ってしまいがちです。悪意のあるアウティングも、善意に基づいたアウティングも、どちらもゆっくり考えれば本人もその行動の危うさに気付けるのかもしれません。
ではヘテロセクシュアルやシスジェンダーを自認している「セクシュアルマジョリティ」たちはそのイメージ力をどこで養えるのでしょうか?
そんな問題意識のもと、LGBTQ+ Bridge Networkは新たに「Several Things You Need to Keep on Your Mind for Diversity」という資料を作ってみました。この資料は「告白編」「カミングアウト編」「たまたま知った編」の3部構成になっています。どの資料も、LGBTQのセクシュアリティをヘテロセクシュアル・シスジェンダーの人が知った時、その人はどう行動すべきかという問題を取り扱っています。内容は、LGBTQ+ Bridge Networkによるディスカッションをまとめたものになります。あなたのイメージ作りの一助となることを切に願います。
他人のセクシュアリティを知り困惑した場合、専門員に相談した方がいいかもしれません。別に、全国のSOGI相談施設はLGBTQ当事者のみが利用するという決まりはありませんし、非当事者も困難を抱えているのであれば相談できます。相談先にアイディアがない方は、このホームページの「Resource」から探してみてください!
悪意のあるアウティングも、善意に基づいたアウティングもどちらも起こらない社会を一緒に考えていきましょう。
▽無料ダウンロード▽
追記
・東京新聞(2021/02/18)で掲載されました!
「同性に「好き」と言われたら… 一橋大生がLGBT当事者に寄り添う「接し方」をパンフに作成」
Comments